[母乳小説]
| 著作/松谷徳盛 |
第二話・『不吉な予告』
重いドアを開け放つと歓声と熱気の洗礼が待っていた。
彼女の登場を待ちわびたギャラリーがアナウンサーの力強い美辞麗句に呼応するかのようにヒートアップする。歓声が渦巻く中由佳はまばゆいスポットライトに照らされたリングに目を細めた。ファンの人垣をモーゼの瀧の如く掻き分けられて、かろうじて出来あがったリングまでの道を歩みながら、熱狂的な声援をBGMに由佳の胸を高鳴らせた。
自然と鼓動がおおきくなりあばら骨の上に貼りつく豊満なバストが大きくゆっくりと揺れるような気さえした。デビュー当初の駆け出しの頃はこの瞬間に緊張のあまりレオタードの下で乳首が固くなり薄い布地を突き上げたものだった。
もともと人一倍、敏感な感度ゆえにちょっとした緊張に反応して勃起するのだ。
一度、ニップレスを貼り忘れた事があり、図らずもファンの目をおおいに喜ばせた事もあった。肌を許した夫以外に見せた事はないが由佳の乳首は豊満なサイズと動揺に大きめだった。だが、今は乳房の先端には溢れ出す母乳を塞ぐための大盤のパッドが貼りついているので心配はない。
リングのそばまで来ると由佳は勢いをつけてかけあがりロープに脚をかけ飛翔した。白熱したライトに照らされファン達が待ち焦がれたヒロインがしなやかな肢体を躍らせる。
マットに着地すると彼女は拳を転へと突き上げた。呼応するようにドッと盛りあがるギャラリーたち。彼女は忘れかけていた快感と緊張に場内を笑顔で応えて見まわした。そして、ガウンの帯をとき、はらりと袖を落とす。
「うぉぉぉぉおぉ!稲城ぃ!!」
途端に熱狂的な声援が空気を振るわせる。長いブランクをへてファンの目に晒された魅惑の彼女のボディライン。以前は若さ特有の張りのあるしなやかさが特徴だったが今はそれに加わって人妻特有の脂の乗った匂いをかもし出していた。
魅惑のヒロインをシンボルにしたような豊満な胸にファンの心は密かに熱狂する。
"子供を産んだ後だから、あんなにデカイんだ"
その場にいる男は誰もがそう思った。黒川ミカを応援するファン陣の方もまんざらではない目で彼女の登場を盛り上げる。この瞬間が由佳には密かな充実感を感じていた。女としてのある種の満足感。自分の肢体に釘付けになり、自分の戦いに賞賛と賛美を与えてくれる男達。この世界に入るまで内気だった故に気づかなかった自分の魅力に対して彼らは自分の実力と共に評価してくれる。身勝手な自己陶酔と思いもしたがソレがプロレスをする何よりも魅力であった。
ひとしきり盛りあがると今度は別の音楽がリング場に木霊した。その従低音の聞いた暗く、激しいビートの特徴からヒールの黒川ミカが登場する事がすぐに分かった。
由佳の登場に目を奪われていた黒川のファン陣もここぞとばかりに盛りあがる。ダーティプレイの黒川。彼女の所業はデビューして僅か3ヶ月の内に数々の伝説を作り女子プロ界で忌み嫌われていた。巨大な体躯に貼りついた黒字のボンテージデザインのコスチュームはSMの女王を思わせるが特徴的な腰みのが不恰好なピエロのズボンのようにせり出しており、悪魔の道化師を髣髴させた。
女と思えぬ小麦色の豪腕。クマを髣髴させるような野太い首の上にはピエロと般若を織り交ぜたようなカラフルなメイキングが施されていた。様々な色合いに隠された彼女の素顔に由佳は近づくにつれて僅かに身構えた。
やがて黒川がリングを前にして由佳は向こうが睨みを効かせている事に気づいた。丸い鼻を挟んだ細い目は強暴な眼光を宿し往年のヒールをも圧倒する雰囲気がある。砲丸のような拳でロープを掴み、巨体をリングに滑りこませると黒川ミカはゆっくりと由佳を見据えた。
獲物を探す冬眠あけのクマを思わせる貪欲で強暴な空気がリングに漂いはじめる。
2人に合わせてレフリーが両手で2人の間合いを制して試合開始の合図を図った。黒川はそんな彼の存在を気にせぬ様子で由佳の方を睨んだまま巨大な体躯を揺すって歩を進めた。何気ない素振りに由佳は身体を少し緊張させたが、すぐに黒川の目を見据えた。その態度はベビーフェイスとしてのカリスマが漂い、試合前の空気を盛り上げる。
黒川はすでに試合形式のルールを説明するレフリーの声も聞かぬ様子で由佳の肢体をつま先から頭まで舐めるように見まわす。
形の良いラインの脚から、もっちりと脂が乗ったような大腿に豊かな臀部。
そして産後とは思えぬ引き締まった腰元。最期に黒川の視線は由佳の豊満なバストに止まった。百センチ近いボリュームのある乳房が寄せ合うように薄手のレオタードの生地に詰め込まれている様は同性でも目を奪われる迫力を持っている。僅かに開いた胸元に深深とした谷間がつくられ大きさを強調する。
黒川は由佳の顔を一瞥するとエミを浮かべた。
黒川は試合前に対戦者を獲物として吟味して、自分の趣向に合ったいたぶり方を相手に告げるというパフォーマンスを持っていた。その宣告は決してその場では明かされることなく対戦者に囁かれ、彼女の勝利と共に現実となってギャラリーを驚愕させるのだ。その事実を小耳に挟んでいた由佳は黒川の一挙一動に警戒しながらも、彼女が何を宣告するのかを伺った。息がかかるのではないかという距離で黒川は囁きかけた。
「ミルク臭ぇな…」
低いだみ声が耳もとで囁いた。
「え?」
由佳は一瞬、何の事を言っているのか戸惑ったが直ぐに自分の胸のことを言っている事に気づく。
「そのデカイ、おっぱいを人前で絞ってやるよ。張ってるんだろう?」
冗談とも本気とも取れぬ、由佳の反応を楽しむような声に嫌悪感を覚えた。無意識の内に胸の前に片手をやりかけたが、ソレをぐっとこらえるように拳を作る。無意識の内から自分の胸を気にしている分、黒川の言葉は意外なまでに由佳を憤らせた。緊張感をもバターのように溶かし去る闘争心が涌きあがり、唾のひとつでも吐きかけようかとさえ考えた。
だが、そこはベビーフェイスのプロ意識からかグッとこらえる事が出来た。
そして、レフリーの仕切りのもとでギャラリーが待ち焦がれた闘いの火蓋が斬って落とされようとした。
デビュー戦の開幕を見届けながら順次は白熱した会場から背を向け、いそいそともと来た道を戻っていた。由佳をサポートする関係者スタッフもリングの側で試合を見入っている。試合自体にはファンとしては非常に興味があるのだが、今の順次には別の目的があったのだ。
試合の出だしほど人々を釘付けにする場面はない。すなわち今こそチャンすなのである。
順次は先刻の控え室の前まで来る改めて辺りを見まわした。リング会場への通路の途中にあるので人影があるかないかは容易に確認できた。いつのまにか高鳴る心臓を抑えるように唾を飲むと順次は控え室の扉をあけ中に滑りこんだ。室内は先ほど順次と由佳が座っていたベンチがニ脚とロッカーが三つ並んでいた。奥には二つに区切られた簡易シャワースペースがあり右脇には使い古されたサンドバッグが吊るされている。
順次は扉にカギをかけると早速、ベンチを引きずりドアの前まで移動させた。直ぐにその上に飛び乗ると爪先立ちで彼はドアの上に設置された通風孔の金網を除きこんだ。3センチ間隔で隔てられた鉄格子の間にテープで固定された小さな円筒状のレンズが、暗闇から順二の顔を捉えていた。
順次は息を呑むとウェストポーチから10徳ナイフを取り出した。慌ただしい手つきでプラスドライバーの頭を出すと格子の四隅を固定するネジを緩ませる。この逆の手順で順次は2日前に取材の下準備と偽ってカメラを設置したのだった。目的は言うまでもなく由佳であった。
(由佳義姉さんの、由佳ネェのオッパイが見れる…!!)
口の中で小さく反芻させる幼稚な言葉の不気味さは順次の胸を黒い炎で焦がした。
鉄格子を外し終えて通風孔の中に手をつ込むと設置していたCCDカメラと、ソレに接続されたホームビデオをそっと取り出す。この瞬間をどれほど待ち望んでいた事だろうか。
手早く通風孔とベンチをもとにもどすと、ビデオに記録された内容を確認すべく腰を下ろした。
義理の姉を覗くという行為。
普段、兄夫婦の新居に食事の招待をされた事は何度かあった。一人暮しをする自分に手作り料理を振るまい温かく迎えてくれる由佳に対して一抹の罪悪感も感じたが、ここまでくると更に恩を仇で返すような事をしている自分に興奮した。ビデオを操作して中のテープが使いきられているのを確認するとすぐに巻き戻しボタンを押す。
テープが巻き戻されきるのを待ちわびるかたわら、順次はロッカーに目を運んだ。
「そう言えば…」
彼は誰となしに呟くとベンチから腰をあげた。立ち並ぶロッカーのひとつの前に立つと彼はそっと扉を開けた。
中には彼女が会場に来る前に来ていた衣服がキチンとハンガーに吊り下げられていた。
その下には先ほど目にした紙袋が置かれていた。恐る恐る紙袋を出すと順次は静かにベンチの上に置いて、テープが巻き戻されるまで順次は紙袋を開いて中を物色し始めた。
袋をまさぐると、きちんと畳まれた状態のタオルに四角い紙箱が出てきた。手にとって見ると表紙には丸い紙状のものがプリントされている。それが胸の張る妊婦が乳房にあてがう母乳パッドのパッケージだと知ると順次は脳髄にしびれるような感覚を覚えた。
つい先ほどまでこの部屋で一緒だった、あの由佳がコレを使用していた。
この事実に順次は夢までに見た由佳の肢体を肉薄しているのを実感した。
そして彼はついに先ほどからビデオの次に目当てにしていたものを手に取った。
それはガラスビンに乳幼児用のビニール製の乳首が取りつけられた哺乳ビン。先刻、由佳と会したときに彼女がここで搾ったという母乳が詰っている。ビン自体がほんのりと暖かく、中身が由佳の乳房から搾り出されたばかりの母乳である事を容易に伺わせた。
順次はおそるおそる哺乳ビンの乳首を口にくわえこむと、そっと乾いた唇をすぼめ吸いついた。
途端に生暖かい感触が口内に広がった。乳臭い匂いが鼻腔をくすぐり、順次はワインのテイスティングをするかのように音をたてて舌にからませる。
それは紛れもなく母乳の味だった。牛乳よりも薄めの味わいにさらりとした舌触り。そしてほのかに残る甘さがなんとも言えなかった。そして、由佳の乳房から搾り出したばかりのために残っている温もりが喉をつたい順二の隠れた変質欲を刺激した。
おっぱいだ!オレはいま由佳ネェのオッパイを吸ってるんだ!!
密やかな征服感に酔いしれると順次はセキを切ったかのように哺乳ビンをしゃぶり始めた。
哺乳瓶のゴムでできた乳首を本物の由香の乳首と見立てて咥内でしごき、せわしない手つきでベルトを緩めた。片手で乱暴にジッパーを下ろすと、抑えをうしなった隆起した肉棒がトランクスの空き部分から鎌首を突き出した。
暗い室内で哺乳瓶をしゃぶりたてる音だけが響き、せわしない手つきで剛直がしごかれた。順次は目をつぶり脳裏に先ほど見た半裸の由佳を思い浮かべ、まだ見ぬ生の乳房を必死に追い求めた。
しかし、どんなに思いを巡らせた所で由佳のあの一糸まとわぬ豊満な乳房を思い浮かべることができなかった。代わりにいつも自慰にふける際に具材にしてたAV女優やグラビア女優が脳裏に浮かんではあたかもそれが妄想の代行に及ばないかの如く消えていく。
今まで順次の欲望を翻弄してきたどんな美少女さえも、由佳の裸身より欲情を仰ぎたてることはできなかった。
(はやく、由佳のオッパイが見たい…)
絶頂を前に焦らされる苦悶に順次は肉棒から手を離すと、未だテープを巻き戻し終えていないビデオに手を伸ばした。
付属の液晶ディスプレイを開くとそのまま、すぐに再生ボタンを押した。
「!」
小さな作動音と共に、小型の液晶画面には望み通りの光景が映し出されていた。
上から見下ろした俯瞰の角度になるが、すぐに由佳とわかる女性がロッカーの前で肌を晒している。既に衣服を脱ぎ終えて上半身は剥き出しの状態だ。上から見るぶん、前に突き出た胸のボリュームが圧巻だった。
重たげな乳房が彼女の動作でゆさりと動き、先端の赤みが画面に揺れた。その部分は順次がもっとも夢にまで見て思い焦がれた部位だった。
メロンよりも大きな乳房に見合う大き目の乳輪が、熱帯夜にさく一輪の花のように張り付いていた。
「でけぇ…乳輪だ…」
夫の一哉にしか見せた事のないであろう豊満な胸を象徴する秘部は育児の過程のせいか少女のような淡い薄桃色からかけ離れて、まるで熟れ過ぎた果実を思わせた。
ビールジョッキの底より大き目の肥大し気味の乳輪の中央には色合いも大きさもまさにアーモンドのような乳首が蕾のようにすぼまっている。
由佳は誰の目も気にすることなく、慣れた手つきで量感ある豊かな乳房を持ち上げると乳首にビンをあてがった。片手では収まりきらない乳肉を持ち直すと彼女は先端を指で挟み力を入れた。
すると、狭まれた乳首から吐き出すようにかすかな白い糸が飛びちった。たまに乳房全体を手のひらでマッサージする動作を繰り返し、同じように乳首を挟み込むと透明のビンの中をどんどんと白く滲ませ始めた。
「由佳義姉さん…試合前でも母乳でオッパイが張っていたんだ…」
画面を食い入るように見つめ正人は手にしていた哺乳瓶に再びむしゃぶりついた。搾乳にふける由佳を前に、彼女が搾り出した母乳をむさぼる自分。この構図はいとも簡単に自分が今、由佳本人から授乳されているんだと順次を錯覚させた。
肩紐を下ろして豊満な両乳房をあらわにしてコースチュームから剥き出しの膝枕をしてもらい、眼前にゆさりと差し出された乳房に自分はむしゃぶりついているんだ。慈母のような眼差しで義弟の自分を見下ろしそっと授乳する姿がたまらなく眩しく感じた。
「義姉さんのオッパイ、美味しいよ…!義姉さん!義姉さん!」
もっと由佳の残り香に身を浸したいという衝動から思わず紙袋から引きずり出したのは由佳のブラジャーだった。ピンクの控えめなデザインで、あの大きな乳房を覆いこむフルカップのブラジャーは手のひらがすぽっりはいる程の大きさだった。
哺乳瓶の母乳をしゃぶりながら順次はそのまま愚息を手にしたブラでしごき始めた。
あの大き目の乳輪と乳首を覆っていたやわらかいカップの裏地に海綿体がこすり付けられているのかと思うと手の動きが思わず加速する。
遂には口にした哺乳瓶のゴム性の乳首でさえ、いつのまにか由佳の大きな乳首と錯覚した。そして次の瞬間、順次は興奮の最高潮に達したのだ。
「うっ…うーっ…」
気がつくと、後先考えずに順次は手にしたブラで愚息の白濁のほとばしりを受け止めていた。
| <続く> |
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