[母乳小説]
| 著作/松谷徳盛 |
第二話・『夜の営み』
―三日後 「ねぇ、アナタ」 その晩、朱美は久しぶりに早く帰ってきた夫にかまってもらおうと背中を撫でながら囁いた。 「この間、私ねカメラマンの人に声をかけられたのよ?」 「ふーん」 眠気を優先させた気のない返事が返ってくるが、朱美はそっと夫の背からおとぎ話を聞かせるように続ける。左手はそっと背中から腰へと這わせ、思わせぶりにそれでいて自分には関係ないような口調で言う。 「秋口のドレスの特集を組む雑誌のモデルをしてほしいですって…ずいぶんと若いカメラマンですごく熱心に勧誘されたんだけど…」 そこで言葉をつぐみ夫の日に焼けた後ろ首を見つめて、朱美は言葉を待った。 果たして夫の反応はどうだろう… 「いいんじゃないか?君だってたまにはしたいこともあるだろう」 そういうと夫の股間をまさぐろうとしていた手がそっと握りかえされた。そして、そのまま厚い太い指が薬指の指輪を確認するように絡みつく。 自分のことを信頼しているという意図を込めてのスキンシップのつもりだろうが、朱美にとってそれは必ずしも期待通りの反応ではなかった。 女の勘とまで行かなくとも食いつきの悪い夫の気持ちは十分に汲み取れた。 自分が他の男の話をすることには無頓着。もっとかまって欲しかったのに、夫は自分が浮気をしないと高をくくって安眠を選ぼうとしている。今の夫はもう昔のように他の男の話をしても目すら光らせてくれないのだろうか。 「ふぅん」 朱美はため息にも似た息をつくとそっと夫の手を振り解いて寄せていた体を天井に向けた。 シラけかける自分の気持ちをごまかすように思いを巡らせると倉瀬の熱心な視線とモデルに誘ってくれた時のくすぐったいほめ言葉が脳裏を掠めていく。 (あれから三日もたったのよね…) 思わせぶりな事をいって夫の愛情を得ようとしたものの、実際、あれからトイレの個室で母乳を搾ったあと、席に戻ると倉瀬の姿は消えていた。 お勘定も済まされ、驚いた事に「手間を取らしました」という言伝と共に紙袋を店員から渡された。 中を見ると100円ショップのシールがついたシャツが入っており、まるでトイレでの惨状を心得ていたかのような配慮であった。 おかげで甘ったるい母乳の匂いと染み付きのシャツを着たまま帰らずに済んだものの、彼の気遣いに朱美は思案した。母乳でカップがぐっしょりと塗れたブラジャーをバックにしまい、ノーブラのまま袖を通した新しいシャツと見比べるように彼の名刺を見つめた。 搾乳の後、朱美の頭からはモデルの仕事は浮かばなかったが、やはり何も言わないままというわけにはいかない。 (きちんとお礼を言わないと…) そして、その帰りに朱美は携帯から名刺に書かれていたアドレスへお礼の一文を添えてメール送信した。 彼の熱心な勧誘ぶりから、すぐに返事が返ってくるかも、と思いもしたが結局それもなく三日の時が過ぎた。 その間、携帯を目にするたびに新しい着信が入っていないか気にする自分に朱美は苦笑したが、あの一件は恥ずかしい思いをしたものの、まだまだ自分は捨てたものではないと再確認できた事でよし、としようと考えていた。 (まったく、ちょっとちやほやされたからってコレなんだから私って駄目ね) そして心のどこかで、まだひょっとしたら倉瀬から連絡がくるのではと思いながらも、それより先に夫との愛を存分に確認しようと思い至ったのだった。 浅はかな考えかもしれないが、若いカメラマンに言い寄られても私は愛する旦那の女なんだという自己満足に浸りたかったのかもしれない。 ふと隣で夫が寝返りを打ったかと思うと視界がふさがった。 「なんだ、お前、欲しいのか?」 気がつくと薄闇の中で夫が覆いかぶさって微笑みかけている。 「……」 黙って思案をまとめているところを夫が突然、朱美の唇を貪った。やや顔をそらしての抵抗もモノともせずに夫は唇を重ねながら肩を抱いてくる。 多分、照れ隠しに自分がすねているように見えたのだろう。 (本当は違うのに…) 仕方なく夫の舌を受け入れて、舌を絡ませあうと夫はいつものように勢いに乗ってきた。 暗闇に唾液が絡みつく音が耳を着いた。肩を拘束する夫の手がせわしなく胸元に移るとパジャマの下の膨らみをもぐように引っつかんだ。 途端にじゅんと胸の先端が濡れそぼる感覚に朱美は背を逸らす。 (もっと、もっと胸を揉んでちょうだい…!) キスの応酬を繰り返しながらも夫は手に掴んだあり余るふくらみを確かめなおすようにパジャマのすそを捲りあげた。 下乳からやや垂れ気味ながらも、母乳で張った乳房が暗い室内で白い輪郭をたわませる。 普段からセックスアピールのシンボルとして目立つ大きめの乳首が外気に晒され、早くも夫の愛撫に硬く頭をもたげ始めているのが朱美はわかった。 (いやだ、興奮で乳首がひりひりしちゃってる) いつも行為の前には娘に授乳する事が多いので、おっぱいは大体が空の状態だが今日は別だった。 まるであの忌まわしい痴態に陥っても自分の魅力を陰らせるものはないと確認したかったのか、夕方から溜めたままだ。 そのため母乳で張った乳房はいつもの夫との情事に見せる様相を変えていた。 夫もその痛々しいまでに張り詰めた乳肌に刺激されたのか、反射的に荒々しく捏ね上げはじめた。 「あうぅ〜ん」 夫のいかつい手による胸への愛撫がなおも力強く掴み直したときだった。 「うぅっ…」 興奮し始めた体が乳腺をそのまま刺激したのか、朱美は胸の中で何かが爆ぜるような感覚に声を漏らした。 「うわっ…」 途端に夫が小さく声を上げて揉んでいた手を左胸から話すとその手を見つめた。 手のひらを塗らした白い乳液を見とると夫は愛撫の手を止める。 「なんだ、お前、搾っていなかったのかよ?」 面倒げに手を空に振り母乳を拭うと夫は露出させた胸に再びパジャマの裾で覆い隠した。見事なまでに男を魅了していた乳首、張り詰めた乳房に引き伸ばされた乳輪が覆い隠されたかと思うと、じんわりとパジャマの布地を漏れ出した乳汁の染みが濡らし始めう。 パジャマの布地に染みが広がる共に浮かび上がった先端の突起を見つめながら夫は苦笑した。 「こうしないと飛び散るからな…」 ぐにぐにと確認するように方乳房を掴まれ朱美は身をよじった。 夫の揉み方は欲望に任せた調子はなく、滲み出る母乳の氾濫がどの程度の力加減であふれるのかを確認するようだった。 母乳が漏れるという事を知った途端に夫の胸への愛撫は途端に躊躇したようなぎこちないモノへと変わっていた。 それが、いまいち要領をえない中途半端な焦らし方となり、朱美は潤いを増していく下腹とは裏腹に歯噛みするような焦燥感に眉を曇らせた。 「お願い、おっぱいを思い切り揉んでちょうだい」 「バカいうな、飛び散ってしまうだろう。ベッドだって汚れるし」 "汚れる"という言葉に朱美は顔に出さないまでも、泣きたくなるような切なさに口をつぐんだ。 「じゃあ、おっぱい吸ってちょうだいよ…?いいでしょ?」 なおもパジャマを濡らし続ける乳房を両腕で抑えるように朱美は媚びる。 「おまえなぁ…」 夫の顔があからさまに曇るのを朱美ははっきりと見た。 しかし直ぐに気を取り直したかのように夫は口付けを再会すると火照りかけていた朱美の疼きを煽りはじめた。 意思とは裏はならに久しぶりの夫との情交に応えるべく体は喜悦に震える。 夫は脚を割ってパジャマの下を脱がしにかかると妊娠後むっちりと脂身をのせたような白い腹から腰周りに手を急かした。 妊娠線がわずかに残る腹の下に張り付くような小さな面積のショーツに手を入れると汗に蒸れた茂みが夫の手を迎える。 淫水に潤んだ割れ目が茂みを掻き分けてきた夫の指を難なく受け入れると朱美はまさに息をあげるような声を上げ喉をそらせた。 「あっ…あふっ…」 おびただしい肉汁の音を響かせながら夫の指が淫裂の奥を蹂躙し、暗い室内に朱美の甘い吐息が重なった。娘を産んだ産道への愛撫に粘膜が締め上げるように絡みついた。夫の挿入した二本の指を自由にさせまいと締め付けるが、その反応を楽しむように夫の指の抵抗は増す。 「だめぇ・・そんなに中を掻き回しちゃあ…・あああっ」 夫の手淫の激しさに身悶えするうちに、またも手付かずの胸がずんと重く鈍い痒痛が広がった。 朱美は困惑と快楽に眉間をゆがめながら今やパジャマの胸一面を濡らした双丘を見下ろした。 すると、男と女の汗の体臭にまた一際むっとした乳の甘い匂いが掻き混ざった淫臭が鼻腔を凪いだ。 「お願い…アナタ、おっぱい…」 息も絶え絶えに夫に懇願すると取り繕うような夫の手が胸に伸た。 「ああん、ああ…ああ、ああ・・」 執拗に秘所を攻める片手間の胸への愛撫は搾るというよりも、ただ自分の興奮に合わせて揉みしだくだけだった。朱美は必死にその中途半端な刺激をより甘美に味わおうと体をよじらせた。 「よし、そろそろいくぞ」 夫の手が胸から離れたかと思うとパジャマから片足を脱がして朱美の膝を開かせた。そして脱がすのももどかしく、秘所を覆うショーツの隙間を広げるとそそり立った怒張をあてがった。 横にずらされた薄い布越しに赤茶色の襞肉が露出し、亀頭が裂け目へこすり付けられたかと思うと一気に夫は朱美を貫いた。 「あうううっ…!」 奥まで突きこまれた感触に思わず背をそらした。その拍子につきこまれた肉棒がわずかにずれるように膣胴を押し戻り律動の隙間を生み出した。 「いきなり、奥まで入れるのは感じすぎるから…いや!」 夫は逃すまいと甘ったるい乳汁の匂いとすえた密液の匂いを染み付かせた両手で朱美を腰を抱きこむと分身を包み込む密肉の感触を感じるままに狂ったように腰を振りはじめた。 「いやぁはぁあああ…」 口先だけの拒絶は夫の嗜虐心を煽り、なおも突き入れたペニスを激しくかき回す。 元来、筋肉質の夫の情技は結婚後も衰える事のない荒々しさで朱美の体の奥までつなぎとめていた。 夫婦になり長い夜の付き合いの仲で淡白になりつつある夫の愛し方のなかでこの力強さが朱美にとって女である事を自覚させる魅力であった。 「ああっ、ああん、ああんっ、いいっ…!」 女芯を打ち付ける熱い肉棒に朱美は髪を振って後ろでに枕を握った。その拍子に二の腕が離れた脇本からこぼれるように垂れかかる胸が別の欲求をもたげた。 体を開いて余すことなく夫の律動を受け入れるなかで胸だけは無防備な状態で積み立てられた興奮と快感に更なる刺激を求め始める。 (ああっ!揉んで、揉んでよ、おっぱい!根元からぎゅっと揉んで吸い付いてよ…!) パジャマの布地を母乳で張り付かせて張り詰めたふくらみが重々しく根元から上下に揺れ動き、朱美の思いを代弁してるかのようだった。 思いのまま夫に叫ぼうにも体とは裏腹に心がさめるような夫の先ほどの顔が脳裏に掠めた。 甘い声を漏らしながら唇をかみ締めると朱美はごまかすように自分の胸を脇から揉みあげた。 しかし下腹で興奮を貪り食うことに集中した体は思うように胸のつかえをかき消す事を妨げる。パジャマの布地を通して白い液体が乳房をもむ指の間を伝うがさらに刺激をかきたてるだけの悪循環に朱美は歯噛みした。 その時、夫のさらに激しい突き上げが朱美を一気に絶頂へと吊り上げた。 「どうだ朱美!」 「えっ?ああっ、、あん、ああん、ああん、ああ…だ・だめッ、まだ、おっぱい、おっぱいがぁあ・・!」 朱美のあでやかな嬌声に猥雑な肉同士のぶつかり合う音が二人の絶頂が近い事を予感させた。 「朱美、いくぞ、いくぞ!」 愛妻の嬌態に荒い息をとぎらて夫が呻くと同時にオスとメスの本能が申し合わせたかのように朱美の密肉が夫のペニスをいっきに締め上げた。 「うぅーっ、で、出るぞ、朱美っ!」 「あっ、うっ…おっ…ぷぁ…あぁッ、あ、イクぅ…うーっ!!」 そしてついにイカされた。 子宮の奥へ夫の熱い白濁を受け朱美は歯を食いしばらせて唸る。 張詰めた胸への焦燥感を置いてきぼりにされたまま、朱美は快感に打ちしびれながらも快楽の嵐に引き離されていのを感じた。 絶頂の奔流に追いつこうと荒々しく揉んでいた両胸から手から絶頂から開放され押し返されてくる疲労に力が抜けていった。 夫は胸をよけるように朱美の脇に頭をあずけて体をやすめると肩で息を整え酩酊した。 朱美はただ夫の剛直でかき回されきった余韻のなかで得た肝心な開放感が下腹から全身を突きぬけようとするも胸のあたりで鈍り始めていることにわだかまりを覚えた。 その不満を確かめるように弱々しく自らの手で慰めていた胸からじくじくともれ出る母乳はいまだ朱美の頭の中で漂うもやのようだった。 既に落ち着いた夫の呼気が寝息へと変わるのを朱美は隣で感じると理由もなく倉瀬のことを思い出した。 もし、彼ならこの胸をどうしてくれるだろうか、、 火照りのピークをすぎた体は吹き出た汗の冷たさを予感しはじめたが、闇夜に取り残された乳房の熱は思考の冴え渡らない朱美に、ぼんやりと倉瀬の視線を連想させた。 (駄目だ。私、どうかしてる…おっぱいを可愛がってもらえなかったくらいで、あてつけに他の男の事を考えようなんて…) すでに寝息を立て始めた夫を尻目に、朱美は気分直しにシャワーを浴びようとそっとベットから身を起こす。 このまま熱いシャワーを浴びて満足しきれぬ女の横顔を母乳と一緒に搾り出して洗い流してしまおうと思った。 そのとき、ふと朱美は時刻を見ようと手に取った携帯のディスプレイに目を見開いた。 "受信:メール1件 倉瀬" |
| <続く> | |
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